
表紙に惹かれて気になってたけど、結局、お気に入りにしたまま手を付けずに置いてた作品。当初は、お試しで読んだだけで、戦争、暗殺という血なまぐさいテーマに食指が動かなかったんですが、時間が経って見てみると、やはり美麗なイラストで描かれた妖艶な月
に惹かれ、今回思い切って読むことに…。うん、やはり、重い世界観でした。特に、月の境遇にはこちらまで胸が痛く苦しくなった 上総は、月を「闇に咲く大輪の花」に例えたが、私には、闇に冴えた光を放つ孤高の美しさの中に、危うい脆さも併せ持つ「貴石」のようだと感じました。最後は、二人で生きることを選び、新たな未来に向かって旅立った上総と月。一応、ハピエンなんでしょうが、その行く先に、これからも様々な荒波が待っているだろうことが分かるため、今のささやかな幸せを分かち合う2人に、どうか幸せになってと、強く願わずにはいられません。
と、作品の購入者はこのようなレビューをしています。
魔都上海で刺客・月に、指令が下る。当然、男を煽る美貌と躰を駆使して懐に入り、暗殺する…はずだった。財閥総帥・上総は、月を刺客と知りつつ、館へと引き入れた。その剛胆さに戸惑うも、中国人と日本人の血の流れる自分と同様に、国の間で揺れ動く苦悩を、彼に感じ取る。急に愛惜を覚え、一介の男娼としてでも侍りたいと願うが、肌を合わせて体熱を感じ、雄芯を喰い締めた時、切ない彼への恋を自覚した。もう殺せない。だが上総には日本軍からも、危険な男が接近していて…。