
出張先の地方都市は、夕方になると音が抜け落ちたように静かだった。
取引先との打ち合わせを終え、次の予定までの隙間を埋めるように、俺は駅から少し離れた公園のベンチに腰を下ろしていた。
スーツの襟を緩め、深く息を吐く。風に混じって、湿った土と枯葉の匂いがした。
人影はない。
遊具も、舗装の剥げた園路も、ただ役目を終えたように佇んでいる。
そんな場所に、不意に足音がした。
白く、ふわふわとしたコートに身を包んだ彼女は、落ち着きなく視線を泳がせていた。
誰かに見られていないか確かめるように、公園の木立や園路の奥を何度も振り返る。
そのたびに頬が熱を帯び、息が浅くなるのが分かる。
「……ここ、静かですよね」
そう言って俺の前に立つ。距離はある。
触れてはいない。
それなのに、空気だけがやけに近い。
彼女は小さく息を整え、覚悟を決めたようにコートの前に指をかけた。
ゆっくりと、ためらうような動きで前を開く。
思わず、息をのむ。
コートの内側には、何も身につけていない身体があった。
ただし、無防備なすべてを晒しているわけではない。
大切な部分だけ、黒い細いテープで簡素に隠されている。
その不自然さが、かえって目を離せなくさせた。
彼女はコートを開いたまま、視線を伏せる。
「……これ、風で取れそうで。自分だと、うまくできなくて」
理由は拙く、声は震えている。
けれど、頼むようにこちらを見る目だけは、はっきりと意志を帯びていた。
「少しだけ、手伝ってもらえませんか」
その言葉が、静かな公園の空気に沈んだ。
すぐに返事はできなかった。
喉の奥で何かが引っかかり、理性が遅れて追いついてくる。
ここは出張先で、偶然立ち寄っただけの場所で、目の前の彼女とは何の関係もない――そう頭では分かっている。
それでも、白いコートの隙間から伝わってくる体温の気配が、思考を鈍らせる。
彼女は動かない。ただ、逃げることも、近づくこともせず、選択をこちらに委ねるように立っている。
そわそわと視線を泳がせ、紅潮した頬を隠すように顎を引いたまま。
俺は自分の手を見た。
書類を掴み、ペンを持ち、数字を積み重ねてきた手だ。
その手を、今ここで伸ばしていいのか。
たった数歩の距離が、異様に遠く感じられる。
ベンチに深く沈めていた背中を起こし、迷いを振り切るように前へ乗り出した。
彼女の肩が、わずかに揺れた。期待か、不安か、その両方か。
コートを押さえる指先に力が入るのが分かる。
俺は、ゆっくりと手を上げた。
触れる直前で、ためらいが指先を縛る。
空気だけをなぞるように、慎重に、慎重に。心臓の音がやけに大きい。
それでも、手は止まらなかった。
理由も、言葉も見つからないまま、ただ引き寄せられるように、彼女へと――。
そんなシチュエーションのCG集です。
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本作品に収録されている画像はStableDiffusionを用い、AI生成した画像を加筆・修正しています。